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佐用姫伝説殺人事件

有田焼の陶芸家の個展が開かれた新宿のホテルで、著名な陶芸評論家が刺殺された。遺体には黄色い砂が撒かれ、部屋のメモ用紙には「佐用姫の」と書かれた痕跡が残っていた。
佐用姫は、佐賀県唐津付近に伝わる悲恋物語のヒロインである。名探偵・浅見光彦は真相を求め、有田を訪れるが、そこには第二の殺人事件が…。大人気の旅情ミステリー。

書評

佐用姫伝説、陶芸作家と評論家の関係、隠されていた人間関係などが巧みにちりばめられた作品です。
トリックも新鮮で良かったと思います。
いつものように浅見が謎を解いていきます。
「新羅に出征するためこの地を訪れた大伴狭手彦と佐用姫は恋仲となった。出征のため別れる日に、佐用姫は鏡山の頂上から領巾(ひれ)を振りながら舟を見送っていたが、別離に耐えられなくなり舟を追って呼子まで行き、加部島で七日七晩泣きはらした末に石になってしまった。」という言い伝えが佐用姫伝説です。今回のヒロイン陶芸家の久子も可愛そうですね。
この作品も犯人に同情してしまいました。


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