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記憶の中の殺人

春分の日の午後、僕は軽井沢のセンセから平塚亭に呼び出された。春のお彼岸に内田家の墓に花を飾る女性がいるので調査してほしいという。
ひと月後、内田家の隣の墓の持ち主が殺された。兄・陽一郎は被害者とは旧知の仲らしい。
それは少年時代の僕だけが憶えていない軽井沢の事件につながっていて…。浅見光彦自身の言葉で語る、過去と現在を結ぶ殺人事件。

書評

浅見光彦一人称で書かれていて、いつもと趣きが違います。 光彦の物の考え方がいつも以上に分かります。
光彦には、軽井沢での失われた幼き日の記憶がありました。
軽井沢のセンセから調査の依頼があったことから、失われた幼き日の記憶に向き合うようになります。
若き日の兄・陽一郎の青春時代の軽井沢での出来事を光彦はさぐりだしていきます。
それは、悲しい真実でした。
特筆すべきは、エピローグでニューヨークに住んでいる妹佐和子と電話で話すシーンがあることです。 妹佐和子は、浅見光彦シリーズにまず登場しませんのでこの作品は貴重であると言えるでしょう。


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