トップページ > 書評 > 蜃気楼

蜃気楼

富山と東京を往復する薬売りの老人が、舞鶴で遺体となって発見される。
取材で富山の魚津に滞在中の浅見光彦は、殺される直前の老人と会った後に行方をくらませた謎の女性を追う。
東京のファッション業界の関係者であった彼女も、また命を奪われ、さらに第三の犠牲者が―。
蜃気楼の街・魚津から旅立ち、都会で失速した夢のかけらが、光彦の胸を刺す。果てしなき哀感漂う長編ミステリー。


書評

この作品は私の大好きな作品です。蜃気楼のような夢を追い続けた登場人物と実際の蜃気楼とが見事にはマッチした作品だと感じました。
誰でも夢を抱きます。しかし、その夢を現実にするのは難しい。まるで蜃気楼のようだ。
この作品ほどはまったものはないので、私の中では浅見作品1位です。
そして、意外な犯人。私は後鳥羽伝説殺人事件を思い出しました。
富山の薬売りの歴史がよく分かります。薬売りは営業テリトリーを決めて活動しており、「懸場帳」という顧客名簿が高く売買されていることなど興味深いものがあります。


上部へ / 書評 / おすすめランキング / 作品一覧